事業承継税制(特例措置)

2018-11-13

中小企業の経営者にとって,事業承継は一大問題であると思います。

誰を後継者とすべきか,後継者の育成と従業員の教育,技術やノウハウの伝承,取引先に対する説明など,円滑な事業承継のためには必要なことは山ほどあるでしょうが,経営者を悩ます一つとして税金の問題があるでしょう。

中小企業の経営者が保有する自社の非上場株式についての相続税,贈与税の猶予及び免除については,すでに平成21年度に事業承継税制において措置が取られていますが(いわゆる一般措置),平成30年度には,いわば新・事業承継税制というべき特例措置が実現しています。

この事業承継税制(特例措置)は,事業の後継者が平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間に,先代の経営者からの相続又は贈与により,都道府県知事の認定を受けた非上場会社の株式等取得した場合,その株式等に係る相続税・贈与税の納税が猶予又は免除される制度です。手続上,一般措置と異なる点は,会社が「特例承継計画」を作成し,平成35年3月31日までに都道府県知事に提出し,確認を受ける必要があるという点です。

以下,事業承継税制(特例措置)の要点をいくつか説明いたします。まず,「特例承継計画」の作成・提出が必要となります。「計画」といっても,詳細なものが要求されているわけではなく,後継者(一般措置と異なり3名まで可)の氏名,事業承継の予定時期,承継時までの経営見通し,承継後5年間の事業計画などをA4 2枚程度にまとめ「確認申請書」として提出するという,比較的簡単なものとされています。ただし,内容については認定経営革新等支援機関の指導・助言を得る必要があります。この特例承継計画は相続・贈与の後でも提出することができます。

申告期限後5年間は事業を継続する必要がありますが,一般措置と異なり,雇用要件は極めて弾力化されています。

事業の継続ができないなど確定事由に該当すれば,猶予がストップし全額納付となります。5年経過後も株式の保有等を継続すれば,そのまま納税猶予され,後継者が死亡したなどの場合には,猶予税額が免除されます。

典型的な一例としては,会社が特例承継計画を策定し,都道府県知事の確認,認定を受け,その後,初代経営者が株式を二代目経営者に贈与し,贈与税の申告をし,贈与税の納税猶予が適用を受ける。そのまま事業を継続し,初代経営者が死亡すると,贈与税の猶予税額が免除される半面,相続税の課税が発生しますが,都道府県知事の切替確認を受けた上相続税を申告し,相続税の納税猶予の適用を受ける。さらに事業継続をし,三代目経営者に贈与し,都道府県知事の認定を受けて贈与税を申告,贈与税の納税猶予の適用を受ける。といった流れが考えられます。もちろん,各々の段階において,細かい要件を満たす必要はあります。

事業承継税制(特例措置)は,相続時精算課税制度と併用することも可能です。その場合には,贈与税の納税猶予の適用が取り消された場合に高額納税となるというリスクをヘッジすることができることになります。

また,猶予税額の全部又は一部を納付することになった場合であっても利子税の負担軽減措置が設けられるなど,中小企業の経営者の税負担に配慮した内容となっていますので,事業承継を考える経営者のみなさんには,特例承継計画の策定,提出を勧めます。当事務所にご相談,ご利用いただければと思います。もちろん,事業承継の目的は円滑な事業の承継の成功であって,節税ばかりに目を向け経営がないがしろになっては本末転倒ではありますが。この点は,税務大学校の教授も力説されておりました。

なお,今回は,非上場会社の事業承継を取り上げましたが,個人事業者の事業承継税制については,本年平成31年度の税制改革で議論されているところですので,後日ご紹介できるかもしれません。

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(hy)

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