外国判決と強制執行

2018-10-31

日本の企業が,外国X国において,X国国民から損害賠償請求の裁判を提起され,賠償を命ずる判決が確定した場合,原告は,日本企業がX国に保有する資産に対して,X国の法令・手続に則り強制執行をすることができるでしょう。それでは当該日本企業がX国に資産を有していない場合,当該日本企業が日本において保有する資産に対して強制執行をすることができるでしょうか。

本来,裁判作用は国家主権の一作用であり,裁判はそれが下された国家の主権の及ぶ範囲でのみ効力を有するのが原則です。
しかし,それでは,現代のように,国際化が浸透した社会においては,その原則を貫くことは困難です。日本においても,法律は,外国判決の承認・執行制度を設けています。

まず,民事訴訟法は,外国裁判所の確定判決について,以下の全ての要件を満たす場合には,効力を有すると定めています。ここでの要件とは,①法令・条約により外国裁判所の裁判権が認められること,②敗訴被告に対し訴訟開始文書が現実に送達されたこと,③外国判決の採用・訴訟手続が日本における公序良俗に反しないこと,そして,④相互の保証のあること,すなわち,当該外国が日本と同程度の要件の下に,日本の判決が効力を有するものとされていること,の4つです。

そして,外国判決をもって日本国内で強制執行をするためには,執行判決を得なければならないとされ,この執行判決が債務名義となると民事執行法で規定されています。執行判決を求める訴えが日本の裁判所に提起された場合,日本の裁判所は,上記の①②③④要件を満たすか否か判断し,満たしている場合には,外国裁判所の判決による強制執行を許す旨の宣言を執行判決においてします。

問題は外国判決と日本の判決が抵触している場合です。裁判例では,同一事件について,日本の裁判所の確定判決と矛盾・抵触する外国判決の承認・執行を求められた場合には,外国判決を承認・執行することは「公序」に反するとしています。つまり,この場合には,執行判決を求める訴えは却下されます。以上が,外国判決の日本国内における効力の一般的なルールです。

ところで,上記では,「X国に財産がある(ない)」とか「日本国内に財産がある」ことを前提としていましたが,そもそもどういった場合に「X国に財産がある(ない)」といえるのでしょうか。

不動産や動産であれば,物理的にX国内にあるか日本国内にあるか判定できます。では,被告の日本企業が保有している資産が債権である場合はどうでしょうか。あるいは,株式であればどうでしょうか。X国の法令に依ることになるでしょうが,債権の場合,債務者がX国に住所を有していればX国にある資産のように思われます。また株式の場合,発行会社がX国の法律に基づき設立され本店がX国内にある会社であれば,X国にある資産のように思われます。

そうとすれば,仮に,被告の日本法人がX国の企業と合弁事業をX国で展開していて,X国企業の株式を保有している場合,それは,X国内の資産であるとして,日本における外国判決の承認手続を経ることなく,X国の執行手続に基づき直ちにX国内で強制執行することができるということになりそうです。

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(hy)

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