配偶者居住権

2018-10-22

民法の相続関係の大幅な改正作業が進んでいることについては,以前ご紹介いたしましたが,本年7月6日に法律案が国会で可決されました。ここでは,今回の改正の目玉の一つである配偶者居住権について説明いたします。

配偶者居住権とは,被相続人の配偶者が,被相続人所有の建物に相続開始時に居住していた場合,一定の要件の下,居住建物に無償で使用・収益する権利を取得するという制度です。配偶者居住権の存続期間は,原則として配偶者の終身の間とされており,また,他者に譲渡することはできません。

配偶者居住権の取得が認められるのは,配偶者居住権が遺贈の目的とされた場合又は遺産分割により配偶者居住権を取得するものとされた場合に限られます。共同相続人間の遺産分割協議が整わない場合,家庭裁判所の審判による取得も認められますが,配偶者に確実に取得させたい場合には,遺言により,配偶者居住権を遺贈の目的としておくべきと考えられます。

改正法施行後,実務上では,配偶者居住権の額の評価が問題となるでしょう。仮に,被相続人に配偶者と子一人がいる場合,配偶者と子の相続分は2分の1ずつとなりますが,相続財産が居住建物のみであると仮定し,居住建物の評価額が2,000万円,配偶者居住権の評価額が1,000万円と仮定すると,配偶者が配偶者居住権を,子が配偶者居住権負担付建物所有権を取得するという遺産分割が考えられます。これはもっとも単純化した例ですが,現金・預貯金等相続財産が他に存在したり,相続人が多くいる場合には,配偶者居住権の額の評価が問題となる事例が生じるのではないかと思われます。

なお,この改正法では,配偶者が,相続開始時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合,遺産分割によりその建物の帰属が確定するまでの間又は相続開始から6か月を経過する日のいずれか遅い日までの間,引き続きその建物を使用することができるという配偶者短期居住権も創設されています。

配偶者居住権,配偶者短期居住権制度に係る改正法は,公布日(平成30年7月13日)から2年以内,つまり,平成32年7月までに施行されることになっています。

 

 

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(hy)

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